双極性障害の治療に精神療法単独で可能であるかは,はっきりしていませんでした。単極性うつ病では精神療法単独でも治療可能なのが示唆されています。ところが,水島広子著 対人関係療法でなおす双極性障害では,その文献が引用してありました。 http://m2fazami.blog26.fc2.com/blog-entry-912.html
ここの80番の文献です。 Psychotherapy as monotherapy for the treatment of bipolar II depression: a proof of concept study. Swartz HA, Frank E, Frankel DR, Novick D, Houck P. Bipolar Disord. 2009 Feb;11(1):89-94.PMID: 19133971 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19133971
もちろん水島先生も本の中で双極I型では絶対薬物と併用し,II型でも併用した方がいい。双極II型で対人関係・社会リズム(IPSRT)単独療法単独で治療するなら,主治医とよく相談して,IPSRTと双極性障害を熟知した治療者との双方に診てもらうべきです。p39。 今回はこの論文を翻訳しました。やはり竜頭蛇尾な論文ですけど。
題名:双極II型うつ病の治療として精神療法単独で行うこと:新しい概念を証明する研究
アブストラクト 目的:我々は,ある精神療法,対人関係・社会リズム療法(IPSRT)が,急性双極II型うつ病の単独療法として,使用可能かを決定する概念の証明研究を行った。
方法:DSM-IVの診断基準で現在うつ病相にある投薬を受けていない患者(17人)が毎週12週間にわたり精神療法(IPSRT)を受けた。12週間の急性期治療の後,8週間の追加の毎週の経過観察治療,反応した人の場合IPSRT続行か,IPSRT無反応の場合IPSRT+ラモトリギン治療を行った。
結果:12週までに被検者の41%(7人)がIPSRT単独療法に反応した(定義は≧50%の抑うつスコアの減少で躁病スコアの増加は伴わないもの),41%(7人)はドロップアウトしたので解析から外した,18%(3人)はIPSRTに反応しなかった。20週になると,53%(9人)に反応が得られ,29%(5人)は症状が完全寛解をした。
結論:IPSRTは双極II型うつ病の一部に有望な介入法と思われた。ランダム化対照試験が系統的に急性双極II型うつ病の単独としてのIPSRTの有効性を評価するのに必要である。
注)精神療法単独の有効性を見るために,強力なIPSRTを選び,双極I型を外して双極II型で,(軽)躁病(精神療法がより困難),慢性でなく急性(慢性の方が治しにくく,評価が困難)を選んだ点は注目される。 例数が少なく,ドロップアウトや,無反応例が多いのは,概念証明論文だから,仕方がない。 |